【生活】アメリカの単位(3) 《長さ・距離》 |
アメリカの生活でまずとまどうことの一つは、独特の「単位」です。食料品のお買い物、料理のレシピ、車の走行速度、目的地への距離など、いわゆるヤード・ポンド法(英語では、U.S. Customary Unit、English Unit と呼ばれる)に基づいた、聞きなれない単位にあちこちで遭遇します。 メートル法が国際標準となった今も、アメリカで使われ続けているこれらの単位についてご紹介します。
今回は、長さ・距離の単位(units of length)についてです。長さ・距離の単位には、古代ローマ時代の身体尺を起源とするものが多くあります。日本にも尺貫法がありますが、人の体を使って測るというのは世界共通の知恵なんですね。
■ インチ(inch)
1 インチ(inch)= 2.54 センチメートル(centimeters) |
インチ(inch)は一般的な長さを表す単位です。古代ローマでは「成人男性の親指の幅」とされていた単位が、後にイギリスのエドワード 2 世によって「大麦を縦に 3 個並べたときの長さ」と定義されたそうです。「成人男性親指の幅」は今のインチ(inch)にも結構使えます。 インチ(inch)には、短い・細かい、というイメージがあるので、by inches (=「もう少しで」)、every inch of ... (=「...のどこもかしこも」)というようなイディオムがあります。
余談ですが、テレビのディスプレイ、ピザのサイズ、車のタイヤなどは日本でもインチ(inch)表示ですよね。wikipedia の「インチ」の項目 によれば、アメリカやイギリスで開発された製品は、互換性の維持や商慣行上、今でもインチ(inch)で設計されているのだそうです。
インチ(inch)の省略記号は、in です。
例: The boy was five inches taller than I. (その男の子は私より 5 インチ背が高かった。)
■ フット/フィート(foot)
1 フット/フィート(foot)= 約 30.48 センチメートル(centimeters) |
日本語ではフィート(feet)のほうが浸透していますが、これは基本の単位 フット(foot)の複数形です。発祥は、言葉のとおり「成人男性の足の長さ」です。(今でもこの身体尺はかなり使うことができます。)名詞を修飾する形容詞的に使う場合は、前につく数字が 2 以上でも単位は単数形 foot のままですので、ご注意ください。(例: 4-foot-tall woman)
インチ(inch)とあわせて長さを表す場合には、 "4 feet 5" のようにインチ(inch)を省略することがよくあります。また、記述する場合にはしばしば「[フット数] ′(プライムマーク/アポストロフィー)[インチ数] ″(ダブルプライムマーク)」のように表します。(例: 5′4″ = 5 feet 4 inches)
フット/フィート(foot)の省略記号は ft です。この省略記号は、2 以上の数に対しても変化しません。
例: The average height of NBA players is 6 feet 7.(NBA プレイヤーの平均身長は 6 フィート 7 インチです。)
インチ(inch)との関係は、以下の通りです。
1 フット/フィート(foot)= 12 インチ(inches) |
■ ヤード(yard)
1 ヤード(yard)= 約 0.91 メートル(meter) |
ヤード(yard)は距離をあらわす際によく使われます。日本では、ゴルフや量り売りの布などに使われていますよね。色々起源はあるそうですが、イギリスのヘンリー1世が、「成人男性の鼻の先から伸ばした手の親指までの距離」を正式にヤード(yard)と定めたという話があります。今でも、ヘンリー1世の測り方はかなり有効です。
ヤード(yard)の省略記号は yd です。
例: I saw the lightning strike only fourty yards away. (たった 40 ヤード先に雷が落ちたのを見た。)
フット/フィート(foot)との関係は、以下の通りです。
1 ヤード(yard)= 3 フィート(feet) |
■ マイル(mile)
1 マイル(mile)= 約 1.61 キロメートル(kilometer) |
マイル(mile)は、地図やハイウェイの標識でも目にするおなじみの単位です。(画像は、ハイウェイの出口までの距離を示す標識です。)また、速度は Miles per Hour(= MPH: 1時間あたりの走行マイル)で表します。マイル(Mile)には、インチ(inch)とは逆に、遠い・長いというイメージがあります。"A miss is as good as a mile." という表現がありますが、これは「『あと少しで手が届く』の失敗も『成功まで 1 マイルはある』の失敗も同じだ。」から転じて、「惜しくても失敗は失敗だ。」という意味です。
マイル(mile)の省略記号は、mi または m です。
例: He crossed America by bike this summer, traveling about 5000 miles. (彼はこの夏に約 5000 マイルの距離を自転車で移動し、アメリカを横断した。)
ヤード(yard)との関係は、以下の通りです。
1 マイル(mile)= 1,760 ヤード(yards) |
以上の長さ・距離の単位の対応について、表にまとめました。
インチ (inch) |
フット/フィート (foot) |
ヤード (yard) |
マイル (mile) |
センチメートル (centimeter) |
メートル (meter) |
キロメートル (kilometer) |
|
in | 1 | 1/12 (約 0.08) |
1/36 (約 0.03) |
1/63360 (約 0.00002) |
2.54 | 約 0.03 | -- |
ft | 12 | 1 | 1/3 (約 0.33) |
1/5280 (約 0.0002) |
30.48 | 約 0.3 | -- |
yd | 36 | 3 | 1 | 1/1760 (約 0.0006) |
91.44 | 約 0.91 | -- |
mi | 63,360 | 5,280 | 1,760 | 1 | 160,934.4 | 約 1,609.34 | 約 1.61 |
cm | 約 0.39 | 約 0.03 | 約 0.01 | 6,213,711.92 | 1 | 0.01 | 0.0001 |
m | 約 39.37 | 約 3.28 | 約 1.09 | 約 0.0006 | 100 | 1 | 0.001 |
km | -- | -- | -- | 約 0.62 | 100000 | 1000 | 1 |
■ 単位を使うときのヒント
1 という数の単位を表現したいとき、 a と one 、どちらを使うほうがいいのでしょうか?どちらでも間違いではありませんが、数字を強調したいときは one を使うことが多いです。 a ももちろん使いますが、数の情報が重要な場合は a を強調するために、あいまい母音の ではなく、はっきり と発音したほうがよいです。もし自信がなければ、 one を使いましょう。
また、1 以上の数のときは、単位が複数形になるので要注意です。例えば、インチ(inch)なら次のようになります。
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商品の表示などでは、省略形を使って 2 yds(= 2 yards)のように書いてある場合もあります。(ft (= foot/feet) は除く。)なお、フット/フィート(foot)の項目にあるように、名詞を修飾する形容詞として使う場合は、数が 2 以上でも単位は単数形のままなので、注意してください。(例: 5-foot-tall woman)
さらに、1 以下の数をあらわすときには分数をよく使います。 この場合は、単位は単数形のままです。
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