【文法】関係代名詞 whom


■ 関係代名詞 who と whom


関係代名詞 whom は、教科書では見覚えがあっても、実際に使う機会は意外とありません。 多くの文法書は、関係代名詞 whowhom の使い分けを以下のように紹介しています。

関係代名詞 who whom
修飾される名詞
関係代名詞節での役割 主語 目的語

who と whom を文法書どおりに文章で使うと、次の例文のようになります。

  1. He is the man who built the mansion. (彼はあの豪邸を建てた男だ。)
  2. He is the man whom my sister is seeing.(彼は妹がつきあっている男だ。)

ところが、実際の会話ではなぜか whom があるべきところに、who が代わりによく使われます。(使い分けるのが面倒になって、置き換えても意味が通じないわけではない who だけをよく用いるようになったのではないか、というのが私の推測です。)

  1. He is the man who my sister is seeing. (彼は妹がつきあっている男だ。)

また、関係代名詞 whom そのものが省略されることもよくあります。実は、目的語(人・物)をとる関係代名詞では、この省略の形がもっとも一般的です。

  1. He is the man whom my sister is seeing. (彼は妹がつきあっている男だ。)


■ 前置詞に続く関係代名詞 whom


前置詞に続く名詞を関係代名詞で置き換える場合にも同様のことが起こります。文法書の正しい英語では、以下の例文のようになります。

  1. He is the man for whom I'm working. (彼は私の上司です。)

この文章は、He is the man.I'm working for the man. の二文を、 the man を関係代名詞で置き換えて連結したものです。 関係代名詞が置き換わる名詞の前に前置詞(この例文では for)がある場合、関係節(関係代名詞に続く節)の最初に置かれることも、教科書にはありましたね。

しかし日常会話で使う場合、まず関係代名詞の前の前置詞は、たいてい関係節の中に残されます。どの言葉を使うか最後まで決めてから話し始めるわけではありませんから、こちらのほうがより自然な語順ですよね。これは、物を修飾する関係代名詞 which でも同じです。(英語の試験ではこの前置詞に悩まされましたが、ネイティブもうっとうしいと思っていたんでしょうか。)

  1. He is the man whom I'm working for. (彼は私の上司です。)

さらに、関係代名詞 whom が who に置き換わったり、省略されたりします。

  1. He is the man who I'm working for. (彼は私の上司です。)
  1. He is the man whom I'm working for.(彼は私の上司です。)

whom を使っても問題はありませんが、かなりかしこまった印象を与えるので、オーラルコミュニケーションや友人への手紙などのインフォーマルなライティングでは、who を使うか、関係代名詞を省略してしまう形のほうがむしろふさわしいと思います。

ただし、フォーマルであるべきビジネス文書や大学の論文などのアカデミックライティングでは、正しい英文法に従って whom を使い、前置詞を whom の前に置く形が好まれます。 正しい文法の厳密さは人によって違いますから、フォーマルな場では厳しいほうの基準に従ったほうが安全です。(だからといって、口語レベルでまで期待されては、相手のほうが hypercorrective だといわざるを得ませんけど。)

というわけで、まったく使わないわけではありませんから、whom もきちんと使えるようにしておきましょう。




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このページは、Rickoが2007年12月 4日 16:00に書いたブログ記事です。

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