【単語】略語 Acronym と Backronym



■ 略語: Acronym



「パソコン」「モトカノ」…単語は次々に略語化されて、私たちの日常会話に抵抗なく溶け込んでいます。日本語とは違う方法ですが、英語にも、複数の単語を一語に略した言葉がたくさんあります。漢字がない分、ひとつの概念を表すのに単語が長くなりがちですから、略語の総数は英語のほうがむしろ多いかもしれません。

英語の略語

英語の略語は、複数の単語の頭文字をとって一語にするというのが一番よくあるパターンです。たとえば NASA は、ご存知の方も多いでしょうが National Aeronautics and Space Administration (米国航空宇宙局)のそれぞれの単語の頭文字からできた略語です。読み方は、「ナサ」と一単語のように読みます。このように、一単語のように発音する略語を acronym と呼びます。

なお、略語でも IBM (International Business Machines Corporation) のように、アルファベット読みするものは acronym ではなく initialism といわれます。

普通の単語として定着しているものにも、acronym があります。スキューバ・ダイビングの scuba は、元は self-contained underwater breathing apparatus (自給式潜水用呼吸装置)です。また、レーザープリンターなどの laser は、light amplification by stimulated emission of radiation (光放射の強制誘導放出による光の増幅)の acronym です。


■ 嘘の略語: Backronym



略語は普通長い単語から作られるものですが、逆に、ある単語を略語として元はそのような意味のない長い言葉にあてはめる、という言葉遊びがあります。このような"にせ"略語を backronym と呼ばれます。back (元に戻す)+ acronym というわけですね。 日本語で言えば「あいうえお作文」のようなものです。bacronym には真面目な意味のものもありますが、アメリカ人らしいジョークのきいたものもたくさんあります。

アメ車の老舗 FORD は、風刺的な backronym の筆頭にあげられます。

FORD → Fix Or Repair Daily (毎日、要修理)

アメ車といえば壊れやすい。Ford はそのシンボル的存在、というわけです。FORD は略語でもなんでもなく、社の創設者の名前です。

ドイツ車の BMW も backronym になっています。

BMW → Broke My Wallet (財布がすっからかん)

ドイツ車はアメリカでも高級車です。BMW の本当の意味は、Bayerische Motoren Werke (ドイツ語:バイエルン自動車工業)です。ちなみにこれは、initialism ですね。

また、本当は backronym なのに、多くのネイティブが acronym だと信じている単語もあります。紳士のスポーツ golf もそのひとつです。

GOLF → Gentlemen Only, Ladies Forbidden (男性のみ、女性お断り)

posh という単語は、「豪華な、おしゃれな」という意味の形容詞ですが、その語源は acronym であると多くの人に誤解されています。(ちなみに、posh はSpice Girls 時代の Victoria Beckham のあだ名でもありました。)

POSH → Port Out, Starboard Home

posh の語源にまつわる話は、なかなか凝っています。上記の "Port out, starboard home" というフレーズは、イギリスと当時英領であったインドの間を航行する船のチケットに印刷してあった、といわれています。port は船の左舷側、starboard は右舷側のことです。イギリスを出て(= out)インドに向かうときは左舷側の port が、インドからイギリスに戻る(= home)ときは右舷側の starboard が日陰側の良い席になるので、より高い席を表すフレーズであるとの説明があります。

現在の posh の意味にもつながっており、もっともらしい説明ではあるのですが、実際にはそのようなフレーズが印刷された船のチケットが発見されたことはなく、都市伝説であろうというのが大勢の意見です。

最後に、アメリカならではの食べ物 SPAM をご紹介します。SPAM とは、塩味がついた豚肉がパテ上になって缶詰に入っているもので、ハンバーガーにはさんだりして食べられます。(ハワイあたりでは SPAM のおにぎりがある、と聞いたことがありますが、本当でしょうか?)

SPAM → Specially Processed Assorted Meat (特別詰め合わせの肉)
SPAM → Some Parts Are Meat (一部肉)

どちらもアメリカ人らしい皮肉がきいていて絶妙。なお、SPAM はきちんとした acronym で、正しいフルネームは、SPicy hAM です。こちらも素直に納得。




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このページは、Rickoが2008年2月18日 23:00に書いたブログ記事です。

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