【生活】アメリカの単位(2) 《液体の容量》 |
アメリカの生活でまずとまどうことの一つは、独特の「単位」です。食料品のお買い物、料理のレシピ、車の走行速度、目的地への距離など、いわゆるヤード・ポンド法(英語では、U.S. Customary Unit、English Unit と呼ばれる)に基づいた、聞きなれない単位にあちこちで遭遇します。 メートル法が国際標準となった今も、アメリカで使われ続けているこれらの単位についてご紹介します。
今回は、容量の単位(units of volume)についてです。アメリカの容量の単位の最大の特徴は、水や油などの「液体(fluid)」と穀物や果物などの「乾きもの(dry)」で違うこと。ここでは、液体の単位(fluid measurement / wet measurement) についてご紹介します。なお、単位の名前が同じでも、イギリスやオーストラリアのものとは違っている場合がほとんどですので、ご注意ください。
■ ティースプーン(teaspoon/teaspoonful)
1 ティースプーン(teaspoon)= 約 4.92 ミリリットル(milliliters) |
ティースプーン(teaspoon/teaspoonful)は、日本でいう「小さじ」です。ただし、小さじはすりきりで量るのに対し、ティースプーン(teaspoon/teaspoonful)を使った場合はこんもりと山盛りにして(spoonful)量ったときの容量です。ただし、今は計量用のスプーンがあり、こちらを使うときは小さじ同様、すりきりで量ります。(私はときどき面倒で、手近のティースプーンを使ってしまいます。)メアリーポピンズの歌で、"A spoonful of sugar helps the medicine go down," とありましたが、おそらくこちらはイギリスの古い計測法でのティースプーン(= 約 3.5 ミリリットル)だと思われます。
テーブルスプーン(teapoon/teaspoonful)の省略記号は、tsp です。
例:Add 3 teaspoonfuls of suger to the beaten eggs. (3ティースプーンの砂糖を溶いた卵に加えなさい。)
■ テーブルスプーン(tablespoon/tablespoonful)
1 テーブルスプーン(tablespoon/tablespoonful)= 約 14.78 ミリリットル(milliliters) |
テーブルスプーン(tablespoon/tablespoonful)は、日本で言う「大さじ」です。ティースプーン(teaspoon)同様、以前は山盛りにしたときの量だったそうです。今は、すりきりで量る計量スプーンがあります。
テーブルスプーン(tablespoon/tablespoonful)の省略記号は tbs または tbsp です。
例:Mix 2 tablespoonfuls of cornstarch in cold water. (2テーブルスプーンのコーンスターチを冷たい水で溶きなさい。)
ティースプーン(teaspoon/teaspoonful)との関係は、以下の通りです。
1 テーブルスプーン(tablespoon/tablespoonful)= 3 ティースプーン(teaspoons/teaspoonfuls) |
■ 液量オンス(fluid ounce)
1 液量オンス(fluid ounce)= 約 29.57 ミリリットル(milliliters) |
液量オンス(fluid ounce)は、ミリリットル(milliliter)と同じように標準的な容量の計測単位になってます。計量カップには大抵、この液量オンス(fluid ounce)とミリリットル(milliliter)が併記されています。重さの単位でもご紹介したとおり、重さを表す常衡(じょうこう)オンス (avoirdupois ounce)という単位もありますが、そのものを見れば判断できるので、大抵はどちらも単にオンス(ounce)と記述されます。少ない、というイメージがあるので、an ounce of ... で「ほんの少しの(勇気や良心など)」という意味の慣用表現もあります。
オンス(ounce)の省略記号は oz です。
例:Saute the pork chops with mushrooms and parsley in 1 1/2 ounces of olive oil. (ポークチョップを、マッシュルームとパセリと一緒に1 1/2 オンスのオリーブオイルでソテーしなさい。)
テーブルスプーン(tablespoon/tablespoonful)との関係は、以下の通りです。
1 液量オンス(fluid ounce)= 2 テーブルスプーン(tablespoons/tablespoonfuls) |
■ カップ(cup)
1 カップ(cup)= 約 236.58 ミリリットル(milliliters) |
意外に知られていないのですが、アメリカでいうカップ(cup) は日本のカップ(= 200cc)とは違います。アメリカで英語の料理の本を買ったときはご注意ください。それから、アメリカのレシピを元に作ると、ご飯もお菓子も一人前がかなり大目なので、少し控えめで作ったほうがいいかと思います。
カップ(cup)の省略記号は c です。
例:1 cup of milk supplies approximately 300 milligrams of calcium. (1 カップのミルクは約 300 ミリグラムのカルシウムを含んでいる。)
液量オンス(fluid ounce)との関係は、以下の通りです。
1 カップ(cup)= 8 液量オンス(fluid ounces) |
■ パイント(pint)
パイント(pint)= 約 473.17 ミリリットル(milliliters) |
パイント(pint)は、ビール(beer, ale, larger)とミルクの容量を表すのによく使われます。「ビール一杯」といえば、通常は a pint of beer。お酒を飲ませるバーでは pint glass というグラスを使っており、「ちゃんと pint で出しているかどうか」をお客さんが判定できるようになってます。 グラスの縁ぎりぎりまで入れるのがお約束ですが、over-sized または lined と呼ばれる、大き目のグラスに pint の線が入ったものが使われていることもあります。
パイント(pint)の省略記号は pt です。
例:Some scientists suggest that a pint of beer is better for you after a workout than water. (運動後には水よりも一杯のビールがよい、と考えている学者もいる。)
カップ(cup)との関係は、以下の通りです。
1 パイント(pint)= 2 カップ(cups) |
■ クォート(quart)
クォート(quart)= 約 946.35 ミリリットル(milliliters) |
クォート(quart)は、大体1リットル、ということで日本人にはなじみやすい単位です。飲み物、オイル、お酢など一般的な液体の容量を表すのに使われます。ちなみに、アメリカ国内の空港に発着する飛行機へ持ち込む液体の取り扱いについて、「3-1-1」というキーワードが空港のあちこちでアピールされています。「各 3 オンス(ounces)の液体を 1 枚の 1 クォート(quart) の容量のジップロックに入れ」て、セキュリティチェックを受けるので用意しておいてください、ということだそうです。アメリカへ旅行される際はお気をつけて。
クォート(quart)の省略記号は qt です。
例:An average adult body contains approximately 5 quarts of blood. (平均的な成人の体には約 5 クォートの血が含まれている。)
前述のパイント(pint)との関係は、以下の通りです。
1 クォート(quart)= 2 パイント(pints) |
■ ガロン(gallon)
ガロン(gallon)= 約 3.78 リットル(liters) |
ガロン(gallon)は、一般的な液体のための単位です。日本人がアメリカの食料品店でまずびっくりするのが、食料品の一箱・一ビンの大きさ。特に、牛乳やジュースがガロン(gallon)で売られているのを見ると、「使いきれるの?」と心配になります。アイスクリームのガロン(gallon)売りもかなり迫力があります。ガソリンもアメリカではガロン単位で売られています。gallons of... は「たくさんの...」という意味をもつ慣用表現です。
ガロン(gallon)の省略記号は gal です。
例:After the gas price rose up to $3 per gallon, some people stopped driving to work. (ガソリンの値段は 1 ガロン上がり 3 ドルに値上がりしてから、通勤に車を使うのをやめた人もいる。)
前述のパイント(pint)との関係は、以下の通りです。
1 ガロン(gallon)= 4 クォート(quarts) |
以上の液体の容量の単位の対応について、表にまとめました。
ティー スプーン (tsp) |
テーブル スプーン (tbsp) |
液量オンス (fl oz) |
カップ (c) |
パイント (pt) |
クォート (qt) |
ガロン (gal) |
ミリリットル (ml) |
リットル (l) |
|
tsp | 1 | 1/3 (約 0.033) |
1/6 (約 0.16) |
1/48 (約 0.02) |
1/96 (約 0.01) |
1/192 (約 0.005) |
1/768 (約 0.001) |
約 4.92 | 約 0.005 |
tbsp | 3 | 1 | 1/2 (0.5) |
1/16 (約 0.06) |
1/32 (約 0.03) |
1/64 |
1/256 (約 0.003) |
約 14.78 | 約 0.01 |
fl oz | 6 | 2 | 1 | 1/8 (約 0.13) |
1/16 (約 0.06) |
1/32 (約 0.03) |
1/128 (約 0.008) |
約 29.57 | 約 0.03 |
c | 48 | 16 | 8 | 1 | 1/2 (0.5) |
1/4 (0.25) |
1/16 (約 0.06) |
約 236.59 | 約 0.24 |
pt | 96 | 32 | 16 | 2 | 1 | 1/2 (0.5) |
1/8 (約 0.13) |
約 473.18 | 約 0.47 |
qt | 192 | 64 | 32 | 4 | 2 | 1 | 1/4 (0.25) |
約 946.35 | 約 0.95 |
gal | 768 | 256 | 128 | 16 | 8 | 4 | 1 | 約 3,785.41 | 約 3.79 |
ml | 約 0.20 | 約 0.07 | 約 0.03 | 約 0.004 | 約 0.002 | 約 0.001 | 約 0.0003 | 1 | 0.001 |
l | 約 202.88 | 約 67.63 | 約 33.81 | 約 4.23 | 約 2.11 | 約 1.06 | 約 0.26 | 1000 | 1 |
■ 単位を使うときのヒント
1 という数の単位を表現したいとき、 a と one 、どちらを使うほうがいいのでしょうか?どちらでもいいのですが、料理のレシピなどでは one を使うことが多いです。 a ももちろん使いますが、数の情報が重要な場合は a を強調するために、あいまい母音の ではなく、はっきり と発音したほうがよいです。もし自信がなければ、 one を使いましょう。
また、1 以上の数のときは、単位が複数形になるので要注意です。例えば、オンス(ounce)なら次のようになります。
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商品の表示などでは、省略形を使って、2 ozs(= 2 ounces)や 2 gals(= 2 gallons)のように書いてある場合もあります。なお、これらの単位を名詞を修飾する形容詞として使う場合は、数が 2 以上でも単位は単数形のままなので、注意してください。(例: three-tablespoon oil )
さらに、1 以下の数をあらわすときには分数をよく使います。 この場合は、単位は単数形のままです。
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