【フレーズ】#17: wish list



 wish list 


  • My daughter is composing her wish list for Santa.
    (私の娘は、サンタクロースへのほしい物リストを作成中です。)
  • This [Bush's tax relief plan] wouldn't be the first thing on my wish list.
    (それ(Bush 大統領の減税策)は、私が期待していた中の最善策ではありません。)

wish list とは、「ほしい物リスト」のことです。

3月11日付けのニュースで、アマゾンの「ほしい物リスト」がデフォルト設定で公開されており、個人情報がもれていることについて問題視されています。実はこの「ほしい物リスト」は、割と最近まで「ウィッシュリスト」という名前でした。そう、この wish list です。

アマゾンジャパンからのこの件に関する釈明にもありました()が、アメリカでは贈り物をもらう機会のあるときに、自分のほしい物をまとめた wish list を贈り物をくれる予定の人に送り、その中から選んでもらう、という習慣があります。

「贈り物には文句を言わない」のを礼儀とする日本人の感覚からすると、「ほしいものをあらかじめ直接リクエストしておく」というのは、かなり大胆に感じられますよね。アメリカでは wish list は、ほしい物を効率よくプレゼントしてもらうための方法として、さまざまな機会に利用されています。特に wish list が活躍するのが、結婚祝いや baby shower (出産直前の妊婦さんのために開くパーティー)。ホームウェアやキッチンウェアを扱う大きなお店では、結婚するカップルなどの wish list を扱ってくれる gift registry (bridal registry, baby registry) のカウンターがあります。ここで wish list を作成しておけば、贈られた側は本当にほしいものを重複せずに受け取ることができますし、贈った側も選ぶ手間をかけずに確実に喜んでもらえる保証があるので、win-win となるわけですね。

オンラインショッピングであれば相手に URL を送るだけですから、さらに手軽に wish list をシェアすることができます。アマゾンは、wish list を扱うオンラインショップの筆頭です。Wishlist.comTheThingsIWant.com のように、ウィッシュリスト専門のショップもあり、ここでは universal wish list といって、複数のオンラインショップやブランドにまたがった wish list を作成することができます。

アメリカでの贈り物の文化には、他にも日本人には違和感が感じられるものがあります。その一つが、ホリデーシーズンに買い物をすると必ず見かける、gift receipt です。デパートなどで買い物をすると、通常のレシートに加え、金額のついていないバーコードだけのレシートがついてきます。これが gift receipt です。このバーコードだけの gift receipt を切り取って、贈り物と一緒に相手に渡しておくと、贈られた側はもし気に入らなくても、そのお店に gift receipt と一緒に商品を持っていいえば、返品または交換することができます。(毎年、クリスマスから新年にかけて、さまざまなお店のカスタマーサービスカウンターには、返品・交換を求める長蛇の列ができます。)

これも「相手が要らないものを持ち続けなくていいように、でも相手に金額はわからないように」という、合理的な思いやりからの習慣なのでしょう。(まあ実際に返品・交換すれば金額は大体予想がついてしまうわけですが…。)

今回のアマゾンの「ウィッシュリスト」に関しては、アマゾンジャパンが機能を導入するさいに、文化の違いをきちんと考慮に入れた上で、もっと十分な説明なり(「ウィッシュリスト≠ブックマーク」)、設定に変更を加えるなりしておくべきでしたね。また逆に、海外へ日本流をそのまま持ち込むことの危険性をも示唆している出来事だと思います。

最後に、二番目の例文は、Bush 大統領の経済刺激のための減税案に対する、ある下院議員によるコメントです。wish list は、「自分がこうあってほしいと期待していること(のリスト)」を比ゆ的に表すこともあります。


(※) アマゾンジャパンの広報担当者によれば、「公開になるという説明は、必ず目につくような場所につけている。設定の変更もできるようになっている。(中略)そもそも、ほしい物リストは、アメリカの文化で、友人や家族にプレゼントして欲しいものをあらかじめリスト化する習慣に合わせてできた機能。公開して使うことが前提になっている」 とのこと。


参考記事:
Let your holiday wishes be known -- online (CNN.com)
Polishing Off the Wish List (WashingtonPost.com)






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このページは、Rickoが2008年3月12日 20:00に書いたブログ記事です。

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