【発音】[th] for this


for this

発音の位置歯間音
発音の種類摩擦音
有声音/無声音有声音

■ 発音の解説



今回ご紹介する は、 の有声音バージョンです。外来語として発音されるときの は大抵「ザ行」に置き換えられていますが(例: rhythm → リム)、実際のネイティブの発音ではむしろ「ダ行」の によく似た音です。(つまり、「リム」より「リドゥム」のほうが、本来の英語の音に近く聞こえます。)

が似ているのは、両者の発音の仕組みがよく似ているからですが、もちろん二つにはきちんと違いがあります。

  1. が一旦息をとめて解放する「閉鎖音(へいさおん)」であるのに対し、 は息を舌や唇で狭くした口の一部にこすらせながら出す「摩擦音(まさつおん)」である。
  2. では最初の舌の位置が「上の歯茎」にあるのに対し、 では「上の前歯の先」に舌がおかれる。

これらの違いにより、 には にある弾けるような音の強さはなく、どちらかというとぼんやりした音になります。

の発音は、舌を上の前歯に軽くあてることから始まります。前歯の下からのぞいている舌の先が、ほんの少し外から見えるのが理想的です。(図1

次に、この状態で軽くうなりながら息を吹き込んでください。すると息の風圧で前歯についていた舌が少し下に押し下げられ、そこから空気が下に向かって噴出します。このとき、息の流れは下唇を冷やすような感じになります。(図2

図1 図2
<舌を上の前歯に軽くあてる> <軽くうなりながら息を吹き込む>

これが の発音の基本です。

ただし、この基本だけでは実際の単語中にある はうまく発音できません。一瞬だけ鳴る の発音のためには、「息を吹き込む」というステップに、「舌をすばやく奥に引っ込める」という動作が加わります。このときの舌は、前歯の裏側にかするような感じで動かします。(図3

実は、 の音は基本で説明したように「前歯と舌の間から息が流れている間に継続的に出ている音」というよりも、むしろこの「舌の移動でこするように出る音」がメインになります。単語に含まれる の発音では、 舌の移動により一瞬鳴る息の流れが聞こえるだけです。

図3
<息を吹き込みながら、舌を前歯にかすめるようにひっこめる>

もし舌の動きなどが難しく感じられたら、上の前歯に舌をあててから、 を発音するつもりで舌を弾いてみる練習をするといいでしょう。舌の動きがとにかく重要なので、 の練習をする際は、舌を出したり引っ込めたりして準備運動をしっかりしてください。

日本人にはこのような動きをする舌の筋肉がないので、初めは誰にでも難しいです。最初はうまくいかなくても、あまり心配しないでくださいね。



■ 練習問題



のみで、スムーズに発音できるようになったら、今度は を含む単語で練習して見ましょう。 以外の音は、ここではそれほど意識する必要はありません。

初めは、それぞれの音を別々に の音と他の音を分けるように、ゆっくりと発音しましょう。例えば、though なら "---ough" のように と続く音に間を置くようにし、これを何度も繰り返してください。最初のうちは、ちょっと大げさなくらいに口も舌もはっきりと動かすほうが、発音の練習になります。 の音に自信が持てるようになったら、徐々に とそれ以外の音の間をつめていき、最後にはなめらかに一息で発音できるようになるまで、繰り返してください。

  1. the ([定冠詞] その)
  2. though (...であるにも関わらず)
  3. therefore (従って)
  4. breathe (息をする)
  5. bathe (お風呂に入る)
  6. with (...と)
  7. father (父親)
  8. rhythm (リズム)
  9. together (一緒に)

(1) から (3) は、最初の音が のパターン。日本語と違って は母音のつかない子音単体であることを、意識しながら練習してください。 例えば、(2) の though の下線部の発音は、 といった後で と発音しなくてはなりません。 (4) から (6) は、の音が単語の最後に、(7) から (9) では単語の真ん中にあります。単語の最後の はおろそかになりがちなので、特に舌の動きを意識して練習してください。

の発音に慣れてきたら、以下の Tongue-Twister (早口言葉)も試してみてください。

  1. That rhythm bothered them.
  2. The mother loathes bathing the brothers.



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このページは、Rickoが2008年7月22日 21:00に書いたブログ記事です。

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