【発音(応用)】なぜストレスが重要なのか |
辞書で英単語を引くと、発音記号に必ずストレス(stress)(※)を表す記号が表示されています。このストレスの記号は、どのシラブルの母音をもっとも強調して発音するかを示しています。学校の英語教育でもストレスにはあまり重点を置いて教えてもらえませんから、英語の発音には気を配っていても、ストレスは参考程度、という方も多いかもしれません。
(※)アクセントとも言われますが、英語では stress のほうが一般的です。
ところが、実際のオーラルコミュニケーションにおいては、ストレスは発音の正確さそのものよりも重要な要素です。私自身の経験から言って、個々の発音が完璧でも、ストレスを置く位置が間違っていたら、ほぼ確実に聞き手に通じません。逆に、発音がいまひとつでも、ストレスさえ正しくできていれば、通じる確率はかなり高くなります。
ストレスの重要さを示す、極端な例に同音異義語があります。これは日本語でも同じですね。たとえば、desert (砂漠)と dessert (デザート)では、desert は第 1 シラブルに、dessert は第 2 シラブルにストレスがあります。(シラブルについては、こちらの記事 をご参照ください。)
(以下、ストレスのあるシラブルは太字・下線)
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砂漠の desert を言いたくて、つい日本語英語のように「デ」にストレスを置いて「デザート」と言っても、ネイティブの聞き手には通じません。
ストレス(アクセント)が重要なのは、このような同音異義語に限りません。例えば comedy (喜劇)と committee (委員会)を見てみましょう。comedy は第 1 シラブルに、commitee は第 2 シラブルにストレス(アクセント)がある音です。
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一見たいして似ていないような単語に思えるかもしれませんね。では、committee のストレスを第 1 シラブルに置いて発音して、comedy と比べてみてください。
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どうです、二つの単語がかなり同じように聞こえませんか?さらに commitee の tee がフラッピングをおこすと、 の音が「ディ」のような音に変化するので、一層似て聞こえます。(フラッピングについては こちらの記事 をご参照ください。)
他に、Arabic (アラビアの)と aerobics (エアロビクス)でも、ストレスのあるシラブルの位置を入れ替えるだけで、同じ単語に聞こえてしまいます。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?英語では、ストレスのないシラブルの母音はほとんど、『ア』とも『エ』とも聞こえる「あいまい母音」として発音されます。逆に言えば、英単語の中ではっきり音が認識できる母音は、ほぼ「ストレスのあるシラブルの母音」だけであるとも言えます。聞き手に英単語を聞き取ってもらうための大事な鍵が、正しくシラブルにストレスを置いて発音することなのです。
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