【語法】名詞 half (1) |
今回は、頻出の単語なのに、意外に用法があやふやな名詞の half の使い方について、解説します。
■ half と the half
名詞 half を使った以下の二つの文章をみてください。それぞれの half には、どんな意味の違いがあると思いますか?
|
(A) の例文のように無冠詞の half は、一般的な「半分」を示しています。「半分のどちらであるか」が重要でないときは、無冠詞の half を使います。(A) の例文では、「白雪姫は、りんごの半分を食べた。」という意味であり、どちらの半分を食べたかは問題にされていません。
一方、(B) の例文のように定冠詞がついた the half は、「そちらの方の半分」という意味です。「どちらの半分であるか」を特定する必要がある場合のみ、このように定冠詞の the がつきます。従って、(B) の例文では、「白雪姫は、りんごのそちらの半分を食べた。」となります。(ちなみに、白雪姫の物語の中では、魔女はりんごの半分だけに毒を塗り、その半分を白雪姫に食べさせたので、"Snow White ate the poisoned half of the apple." となりますね。)
half と the half の使い分けを、もう一組の例文で確認してみましょう。
|
(A) の例文では、ケーキを二人でわけるときに、「(どちらでもいいから)半分ちょうだい」という気持ちなので、無冠詞の half を使っています。「半分」は観念的な意味なので、「半分」のサイズに大小・多少の違いがあっても、当人がそれを「半分」と思っていればかまいません。
一方、(B) の例文ではケーキを半分に切り分けたとき、大きい半分と小さい半分ができました。「小さい方の半分がほしいな」と思ったので、冠詞の the をつけて、the smaller half とし、「どちらの半分か」を特定しています。
(A) のように限定しないのなら、不定冠詞の a も使えるんじゃないか、と思われますか?機能的には確かにそうなのですが、慣用的に無冠詞の half のほうがよく使われています。(不定冠詞の a は、数量・単位に用いられる half でよく登場します。次回の記事でご紹介します。)
■ half の複数形
half は可算名詞なので、複数形 halves があります。「半分が二つある」というと少し違和感がありますが、例えば「左脳と右脳」のように、半分がそれぞれ別の機能を持っている場合、これらの二つの「半分」をあわせて指すのに使われます。
|
ちなみに、上の例文にある hemisphere は、地球の半球だけでなく、脳の半球、右脳と左脳をそれぞれ表すのにも使われます。hemi- は「半分」、sphere は「球体」という意味ですから、文字通り half ball (半球)ということですね。
half の解説は、次回に続きます。
関連記事 |
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 【語法】名詞 half (1)
このブログ記事に対するトラックバックURL: https://bin.xrea.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/84
▼コメント入力フォームを表示する/隠す
コメントする