【リーディング】読む速度をアップする(2) |
■ Timed Reading を効率的にするテクニック
Timed Reading (速読) は、英文を読む速度をあげるための練習法です。TOEIC や TOEFL などの時間に制限のあるテストでは、いかに読解にかける時間を減らし、かつ文章の重要なポイントを効率よく押さえるかにすべてがかかっている、と言っても過言ではありません。
Timed Reading の手順についてはご説明しましたので、ここでは読む速度を落とさずに要点を押さえるためのテクニックについてご紹介しましょう。
(1) タイトル、序文、各パラグラフの最初のセンテンスをしっかり読む
タイトル(Title)は必ず最初に目を通しておきましょう。タイトルでは、「この文章は何について書いてあるのか」が凝縮した形で述べられています。人は「これから何の情報をインプットするのか」を知っていると、理解の速度が速くなります。また、本文で出てくるキーワードが含まれている場合も多いです。
|
タイトルについで大切なのが、序文(Introduction)です。序文は、読者に本文に入る前に心の準備をさせるものであり、最初のパラグラフと決まっています。序文には、「この文章は何について書いてあるのか」「筆者はどんな意見を持っているのか」が述べられています。場合によっては「本文のフレームワーク」についても触れてあります。以下は、"Carbohydrates" というタイトルの文章の序文です。 1
Carbohydrates are the body's main source of energy. Many different foods include this nutrient. These foods can be classified into groups according to the amount of carbohydrates they contain. |
最後に、各パラグラフの最初の一文も非常に重要です。Expository Text という教科書などで見られる説明的な文章(※ TOEFL などで出題される)では、特に大切です。
英語の作文には、「各パラグラフは Topic Sentence から始まること」というルールがあります。Topic Sentence とは、パラグラフの内容を一文で説明する文章です。つまり、Topic Sentence を読めば、そのパラグラフの内容が大体わかるわけです。パラグラフの残りの文章は、Topic Sentence をより詳細な情報で肉付けします。以下に、"Carbohydrates" の序文以降の各パラグラフの Topic Sentence を抜き出しました。
|
タイトル、序文、そして各パラグラフの Topic Sentence を読めば、本文を読まずして全文のフレームワークを大体理解できることがお分かりいただけたでしょうか?フレームワークを心の中に意識しながら、残りの本文で「フレームワークに肉付けする」つもりで読みましょう。
(2)単語単位で読まない
英文に限らず、文章の単語をひとつひとつ拾って読んでいると、読む速度がとても遅くなります。単語はそれ自体意味を持っていても、実際は単語のかたまり、チャンクが文全体の意味を構成しています。たとえば、以下の文を見てください。
Carbohydrates | are | the | body's | main | source | of | energy. |
単語ごとに区切ってしまうと、それだけでは意味をなさない単語がいくつもでてきてしまいますね。単語と単語のつながりも見えにくくなっています。この文を、チャンクに分けると以下のようになります。
Carbohydrates are | the body's main source | of energy. |
このわけ方なら、Carbohydrates are (炭水化物は)、the body's main source (体の主な源)、of energy (エネルギーの)というように、文的に意味のある区切り方ができます。(チャンクについては、またいずれご紹介しますが、今は主に名詞を中心とする意味のかたまり、とだけご紹介しておきます。)
視覚には、常に二、三単語が入っているようにしてください。はじめは、どこが区切りかわかりにくいかもしれません。それでも、目をあまり動かし過ぎないようにして、目に入っている単語をまとめて理解するように意識してください。
単語をひとつひとつ追って行くように視線をたえず動かしていくよりも、チャンクの中心となる単語に注目して、その前後の単語を視線に入れるようにしたほうが、効率的に文全体の意味を理解できます。
(3)知らない単語は読み飛ばす
Timed Reading をしていて、意味のわからない単語に出会っても、とりあえず読み飛ばしてしまいしょう。後の文章から、意味を推測できることもあります。もし知らない単語が多すぎて、文章の意味がほとんど理解できないようであれば、その文章はあなたの英語力にはあっていない、ということです。あなたの英語力にあった文章とは、わからない単語はあっても、文章のおおまかな要約ができる、というような文章です。もっと上のレベルの文章を読むには、ボキャブラリーを積極的に増やす必要があります。
(4)重要度の低い単語はさっと読む
単語は、意味的に重要な単語とそうでない単語に分けられます。下の表を見てください。
(a)重要な単語 | 動詞、名詞、形容詞、副詞 |
(b)重要ではない単語 | (a) 以外の単語 (冠詞、前置詞、接続詞など) |
(a)の単語を Content Word といい、言葉として意味を持っている単語です。一方、(b)は Function Word といい、文章の構文や機能を示す単語です。
言葉として意味を表さない Function Word に注目しすぎるのはやめましょう。このためには、文の構造を作っている文法をしっかり理解できていることが前提です。Function Word も意識して読まないと、意味がつかみにくい気がするかたは、該当の文法項目を再確認してください。関係代名詞や、動名詞、不定詞などは最頻出ですから、時間をかけてもきちんとマスターしてください。
(5)Transition に注目する
Transition とは、文と文を滑らかにつなぐための単語やフレーズです。日本語にも、Transition はたくさんあります。「しかし」「そして」「まずは」がその例です。Transition を知っていれば、ある文からある文へ移動するときに、著者が"舵をとる"方向がわかり、次の文を読む前に内容の予測ができます。以下は、Transition の一例です。
意味 | Transition |
付け加える | Moreover, Furthermore, In addition |
反対のことを述べる | In contrast, On the other hand, |
列挙する | First of all, Second, Next, Finally, |
要約する | In conclusion, In short, In sum, |
結果を述べる | As a result, Consequently, |
理由を述べる | Because of ..., Due to ..., Thanks to ..., |
著者の気分を述べる | Strictly speaking, Frankly speaking, To my surprise, |
これらのテクニックには、実践してすぐ効果を確認できないものもあります。しかし、継続すれば読む速度も理解力も確実に伸びてくるはずです。
-----
1. Huizenga, Jann, Snellings Courtenay, and Francis, Gladys. 1990. Basic Composition for ESL. pp.157
関連記事 |
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 【リーディング】読む速度をアップする(2)
このブログ記事に対するトラックバックURL: https://bin.xrea.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/111
▼コメント入力フォームを表示する/隠す
コメントする