【雑学】感謝祭(Thanksgiving)


この記事では、感謝祭(Thanksgiving)についてご紹介します。

(※ この記事には、YouTube の動画が含まれています。お使いのブラウザによっては、記事内に動画が表示されないことがあります。About の「アクティブコンテンツ(動画・フラッシュ)」の説明をご覧ください。)



■ 感謝祭(Thanksgiving)の起源と現在のお祭り



感謝祭(Thanksgiving)は、収穫シーズンに行われる北米のお祭りです。アメリカでは、11月の第4木曜日と規定されているため、日にちは毎年変わります。この日から新年までを、一般にホリデーシーズン(holiday season)と呼び、国中がにぎやかな雰囲気に包まれます。

感謝祭の起源は、アメリカへの入植の始まりにさかのぼります。スペイン、イギリスなどさまざまなヨーロッパの国々から大西洋を越えてやってきた入植者たちは、新天地での一年の無事と大地の恵みを神に感謝し、祝いの宴を設けました。そして、1614年現在のヴァージニア州にあるバークレープランテーション(Berkeley Plantation)にて、公式に記録に残っている最初の感謝祭が祝われたと伝えられています。

感謝祭の典型的なイメージは、イギリスからの入植者がネイティブ・アメリカンの人々に七面鳥などをふるまっている光景ですが、これはマサチューセッツ州のプリマス(Plymouths)で行われたといわれる感謝祭の様子だそうです。プリマスでは、入植者の人々が冬を越すための生活の知恵をネイティブ・アメリカンに学び、その感謝の印に宴を開いたといわれています。(こちらのほうを最初の感謝祭として記憶しているアメリカ人も多いです。)

感謝祭は、一年で最大の家族のイベント、日本でいうとお正月にあたります。この時期の飛行機は帰省の人々で最も混雑します。

感謝祭のシンボル、七面鳥は感謝祭の前日ホワイトハウスで主役となります。2羽の七面鳥が『大統領の恩赦(presidential pardoning)』を受け、ごちそうのテーブルにあがらずに平和な農場で余生を過ごすことを許されるのです。この式典の様子はテレビ中継され、大統領夫妻が(若干おびえつつ)七面鳥に恩赦を与えている様子を見ることができます。この習慣は、リンカーンのときからともトルーマンのときからとも言われています。ちなみに、2008 年の今年は "Pumpkin" と "Pecan" と名付けられた二匹が恩赦を受けました。



■ 感謝祭の食卓



感謝祭の食卓と言えば、やっぱり七面鳥の丸焼きですよね。

私は、二年前に友人と「せっかくアメリカにいるのだから」と、七面鳥の丸焼きに挑戦してみました。七面鳥のお腹に詰めるスタッフィングは、パン粉にクランベリー、野菜、コーンブレッドなど様々ですが、こちらは日本人らしくご飯を詰めてみました。

それでは、七面鳥の下ごしらえの様子からどうぞ。


Whole Foods で予約していた七面鳥。小さいのを買うつもりが、13 パウンド(約 6 キログラム)のものが手渡されました。あれ…


皮と身の間に、フレッシュハーブと塩をまんべんなくまぶしていきます。後ろに転がっているのは、七面鳥の首です。切り落とされてキレイに掃除されたお腹の中に入っていました。ちょっとシュールですね。


スタッフィングは、キノコたっぷりのリゾットです。


オーブンで約4時間ほどローストします。大きすぎるので、中にある棚は全部はずしました。


焼きあがったところ。足にフリルの飾りもつけてみました。

七面鳥の以外の定番メニューは、甘いパイ(アップルパイ、パンプキンパイ、ペカンパイなど)、アップルサイダー(濃いめのアプルジュースみたいな飲み物)、クランベリージャム(七面鳥につけながら食べる)、マッシュポテトグリーンビーンズの付け合わせなど。

七面鳥は普通の鶏の三回りはある大きさなので、一晩で食べきることは至難の業です。そんなわけで、この時期のお料理番組には、七面鳥の残り(leftover)を利用したレシピがよく紹介されています。私は、ポットパイ(シチューにパイ皮をかぶせて焼いたもの)や、鳥雑炊などにして楽しみました。

ちなみに、南部では七面鳥を専用のフライヤーで丸揚げにする Deep Fried Turkey が、伝統的な料理方法だそうです。ただこのフライヤー、事故も多いそうで、毎年感謝祭の翌日にはフライヤーによる火事のニュースが流されます。

"How to deep fry a Thanksgiving turkey"



■ 年一回の大セール『Black Friday』



感謝祭から新年までは、Holiday Season として最も商業的に活気づく時期ですが、中でも感謝祭翌日は Black Friday と呼ばれ、多くの小売店が一年に一回の大セールを行います。この日だけは、朝6時などの早朝に開く店が多く、お目当ての商品を手に入れるために2時や3時から人々が列を作り始めます。朝8時頃には、ほとんどの商品が売り切れ、売り場は閑散としてしまう、短期集中決戦のセールなのです。(どれくらい安いかというと、私の友人は大型プラズマテレビをたった $800で手に入れました…。)

■ 映画『アダムズファミリー・2』の劇中劇



映画『アダムズ・ファミリー2(原題:The Addams Family Values)』は、不気味な一家が主役(かつヒーロー)のブラックコメディで、映画『アダムズ・ファミリー(原題:The Addams Family)』の続編にあたります。もともとは、雑誌 The New Yorker に 1938 年から連載されていた一コマ漫画で、その後テレビ、映画への進出を果たしました。また、2009年にはブロードウェイでのミュージカル化が予定されているそうです。

この映画の中には、サマーキャンプの最終日に子供たちが感謝祭をテーマにした劇を上演する、という劇中劇のシーンがあります。

入植者(pilgrim)たちがネイティブ・アメリカンたちを友好の証に宴に招く、という感謝祭のシンボル的な有名な場面が、ブラックユーモアたっぷりの映画らしく、入植者の偽善者ぶりを際立たせるように描かれています。(入植者たちを演じるのは、キャンプでもいい子ぶりっ子のスノビッシュな子供たちで、一方のネイティブ・アメリカンたちは Addams 一家の Wednesday たちのような個性豊かな「外れ者」が演じる、という配役が効果的です。)

入植者の少女演じる Sarah Miller の偏見・差別がてんこ盛りのセリフと、Wednesday のクールな切り捨てっぷりをお楽しみください。


"The Play" ("The Addams Family Values" より)

以下は、セリフの一部抜粋です。

Pilgrim Girl (played by Sarah Miller):
Remember, these savages are our guests. We would not be surprised at any of their strange customs. After all, they have not had our advantages, such as fine schools, libraries, full of books, ...shampoo.
(聞いて、あの野蛮人たちは私たちのお客様よ。彼らのヘンテコな習慣に驚いたりしてはだめよ。何と言っても、彼らには私たちが持っている優れたものを持っていなかったんですもの。たとえば、ちゃんとした学校や図書館、たくさんの本、それにシャンプーなんか。)

Pilgrim Girl (played by Sarah Miller):
What a thoughtful gift! Why, you are civilized as we, except we wear shoes and have last names. Welcome to our table, our new primitive friends.
(なんて素敵な贈り物なんでしょう。まあ、あなた方は私たちみたいに文化的なんですね。私たちは、靴を履いているし、名字も持っていますけど。私たちの宴へようこそ、新しい未開人のお友達。)

Pocahontas (played by Wednesday Addams):
Wait. We cannot break bread with you. You have taken our land, which was rightfully ours. Years from now, my people will be forced to live in mobile homes on reservations. Your people will wear cardigans and drink highballs. We will sell bracelets by the road sides. And you will enjoy golf and eat hot hors d'oeuvres. My people will have pain and degradations. Your people will have stick shifts. The Gods of my tribe have spoken. Do not trust pilgrims, ... especially Sarah Miller. ...And for all of these reasons I have decided to scalp you and burn your village to the ground.
(待って。私たちは、あなたたちにごちそうになるわけにはいかない。あなた方は、私たちが正当な所有権を持っている土地を奪った。今日から何年も後には、私の民は保留地のトレーラーハウスに住むことを強いられるだろう。その一方で、あなた方は、カーディガンを着こんでハイボールをあおっているだろう。私たちが道端でブレスレットを売る一方で、あなた方はゴルフを楽しみ、熱々のオードブルを食しているだろう。私の民が痛みと困窮に耐えているときに、あなた方はドライブを楽しんでいるだろう。私の部族の神々はこう告げた。入植者たちを信用してはならない。とりわけ、Sarah Miller は。これらの理由によって、私はあなた方の頭の皮をはぎ、その村を焼き払うことに決めた。)


ちなみに、Wednesday にはポカホンタス(Pocahontas)という役名がついていますが、ニューイングランドの Plympouth で行われたいわゆる「最初の感謝祭」に登場するインディアンは、ディズニーの映画などで有名なあのポカホンタスではありません。「最初の感謝祭」が1620年以降に行われたのに対し、ポカホンタスは1617年にイギリスで亡くなっています。ポカホンタスは、ヴァージニア州居住の Powhatan 部族の出身ですが、ヴァージニアで公式に記録されている感謝祭(上記参照)にはネイティブ・アメリカンとの交流は記されていません。実際に「最初の感謝祭」に参加したのは、Wanpanoag というマサチューセッツ州に居住していた部族です。(おそらく、有名なポカホンタスの名前をここではワザと適当に使ったのだと思います。)




<< 【発音】[r] for bird | ホーム | 【雑学】子を想う詩 >>


関連記事


トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 【雑学】感謝祭(Thanksgiving)

このブログ記事に対するトラックバックURL: https://bin.xrea.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/240

コメント(1)

tantan :

すみません、見ていただけていないのかと思いますが、前回のページ(発音r)で二つほど質問しております。
急がないのでコメント頂けたらと存じます。
いつもありがとうございます。



▼コメント入力フォームを表示する/隠す

コメントする

About this Blog Entry

このページは、Rickoが2008年11月26日 21:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「【発音】[r] for bird」です。

次のブログ記事は「【雑学】子を想う詩」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。



にほんブログ村 英語ブログ 英語講師・教師へ  人気ブログランキングへ
ブログランキングに参加しています。記事にご満足いただけましたら、上のバナーをそれぞれクリックしていただけると、とても励みになります。