【チャンク】名詞チャンク:名詞の可算・不可算/some・any |
今回は、名詞チャンクのコアである名詞の可算・不可算と、それを修飾する限定詞的な some および any について解説します。
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■ 名詞の可算・不可算は絶対ではない!
名詞には、数えられる名詞である「可算名詞」と数えられない名詞である「不可算名詞」があります。可算・不可算は日本語にはない概念で難しいと感じられるかもしれませんが、基本ルールは意外にシンプルです。可算・不可算を分ける条件は、「『単位』で区切ることができるかどうか」ということです。
可算名詞 | ・「単位」とする形がある ・冠詞「a」や数詞で数を指定する ・複数形がある |
apple flower computer candle person |
不可算名詞 | ・「単位」とする形がない |
water music hair fear conversation |
可算名詞の例は、すべて「『単位』となる形がある物」です。flower(花)には、チューリップや鈴蘭といろいろな種類がありますが、はっきりと「一輪」とする単位があります。また、candle(ろうそく)には「一本」、computer(コンピュータ)には「一台」という、それそのものに「ひとつ」と分けられる区切りがあります。
一方、不可算名詞の例は、「『単位』となる形がないもの」です。water (水)そのものには区切りがありませんから「ひとつ」「ふたつ」と数えられません。数えられませんから、当然複数形にもなりません。量を表したい場合には、「一カップの」といった別の単位をあてがってやる必要があります。
このルールに従っていろんな単語を見てみると、ある単語を不可算と加算にきれいに分類することはできないことに気付きます。ある単語には複数の意味があり、どのような意味でとらえるかによって、可算・不可算が変化するからです。以下の例文を見てください。
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これらの名詞の加算・不可算を区別するのは、その単語が文脈中で「概念」として扱われているか、それとも「具体的な一例」として扱われているか、ということです。(a) は hair も fear もどちらも、「形」のない概念であるのに対し、(b) はどちらも「髪の毛一本」「...という(一つの種類の)恐怖」という具体的な「形」があります。「概念」として登場する場合は不可算で、「具体的な一例」としての場合は可算となります。これも、「『単位』としての形があるかないか」という基本ルールにのっとっています。
ただし、中にはどんな文脈でも必ず不可算として扱う、「完全な」不可算名詞とでも呼ぶべきものもあります。これらの例には information、music、advice などがあります。こういった「完全」不可算名詞は、出会うたびに覚えていくしかないので、新しい単語を辞書を引くときには意味だけではなく加算・不可算にも注意しておきましょう。
■ 数詞 some と any の使い方
可算・不可算に関連して、数詞の記事でご紹介した some と any について言及したいと思います。これらは、数詞のカテゴリでご紹介しましたが、実際は限りなく限定詞に近い使われ方をします。
まず、some に注目してみましょう。some には、実はおもに二つの役割があります。一つ目は、『数詞』としての役割に重点をおいた「いくつかの...」という意味です。多くもないが少なくもない、というあいまいな範囲の数字を表します。この some がつく名詞は、必ず可算名詞であり、名詞は複数形に変化します。
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二つ目の some は、『冠詞』的な働きをする some です。こちらの some は、通常訳出されませんが、意味的には「特定されない、できない何かの」というような意味です。この場合の some では、通常名詞は単数のままです。不可算名詞をとることもあります。
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any はよく「否定文・疑問文で some の代わりに使う」という紹介のされ方をしますが、これは正確ではありません。some には「不確定な数の」という意味があるのに対し、any には「あらゆる」というまったく別の意味があります。some と any は、どちらも平叙文・否定文・疑問文のすべてで使い分けられています。
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次回は、名詞チャンクの後置修飾についてお話します。
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こんにちは。以前一度質問させていただいたtantanと申します。
今回、somo とanyの使い方興味深く読ませていただきました。特に「冠詞的」使い方の説明、とても納得しました。
また英語の質問させていただきたいのですがよろしいしょうか。(ブログとは関係ないですが)
子供の絵本で次のようなフレーズがあります。
Here is Lion. Can you guess what colour he is? Lion is a lovely yellow!
There is Elephant. Can you guess what coulor she is? Elephant is a gentle grey!
のような内容なのですが、それぞれa lovely yellow と a gentle grey のaはなぜ必要なのでしょうか。後ろにそれぞれlion elephantが省略されているから?でも普通、色だったら***is red! とかでいいような気がするのですが、特に意味はありますか。またこのような使い方はよくありますか。
長くなりましたがよろしくお願いします。
こんにちは、tantan さん。お返事が遅くなって申し訳ありません。ご質問のフレーズですが、おっしゃるとおり通常は形容詞を使うところですが、yellow、grey には、実は「黄色のモノ」「灰色のモノ」という名詞としての用法もあります。ここで名詞が選択されたのは、おそらく子供むけの本なので「可愛らしい」感じの表現にしたかったのではないでしょうか。感覚的なものですが、形容詞よりも名詞を使うほうが少し幼い感じがします。
もう一つの考え方としては、grey、yellow の後に animal などの名詞が省略されている、ということです。この場合、省略は文章のリズムを整えるために起こったと思われます。"Lion is a lovely yellow"、"Elephant is a gentle grey" のどちらも、英語のシラブルをカウントすると四拍子になります。(a は通常シラブルとしてカウントされません。)ところが、animal を加えると、五拍子になり、四拍子に比べると少しノリが悪い感じがします。
以上で、ご質問に答えられましたでしょうか。子供向けの本は、リズムや韻が踏んであって楽しいので、私も大好きです。また、ご質問があればご遠慮なくどうぞ。
Ricko 様
最近Eigoriki.netを見つけて大変うれしく思っています。私にとってのきっかけはチャンクとは??ということでした。今まで見たどの英語のサイトよりも読みやすく良く理解することが出来ました。
いま、名詞チャンク:名詞の可算・不可算を読んでいるところですが不可算名詞conversationについても辞書を引くと複数形が可能ですがhairやfearと同じ理解の仕方でよろしいのでしょうか?
また、
>ただし、中にはどんな文脈でも必ず不可算として扱う、「完全な」不可算名詞とでも呼ぶべきものもあります。これらの例には information、music、adviceなどがあります。
上の説明の中のinformationとadviceは辞書によるとそれぞれ複数形の使用例がありますが複数形可能の名詞でありかつ「完全な」不可算名詞は矛盾しないのでしょうか?
教えていただければうれしいです。よろしくお願いします。