【発音(応用)】ストレスの法則(8)《複合語のストレス》


これまでストレスの法則で扱ってきた単語は、すべて単独の単語でした。しかし、英語のボキャブラリーには二つ以上の言葉を合わせて作られた複合語(compound)も多数存在しています。各単語のストレスは、複合語としてひとつになったとき、どのように影響をうけるのでしょうか?今回は、そんな複合語のストレスについて解説します。


(※)ストレスは、アクセントとも呼ばれていますが、訛りの意味のアクセントと区別するためにこのサイトではストレスに統一しています。


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■ 複合語のストレス



複数の単語がひとかたまりの意味を表している場合、これを複合語(compound)と呼び、ひとつの単語として扱います。書き言葉では、単語が一語にくっついている場合(例: football)も、分かち書きのままの場合(例: short story)もありますが、どちらも同じ複合語です。

複合語を構成する各語は、単独の単語のときと同様に、ストレスの法則によってシラブルのストレス位置が決まっています。しかし、複合語として扱う場合には、さらに複合語全体のストレス構造が加わることを意識しなくてはなりません。

複合語の名詞および形容詞では、基本的に一番最初の単語に複合語全体のストレスがあり、続く単語では階段状にストレスが弱まっていきます

では、複合語の全体のストレスとは、どのように表現するのでしょうか?

単独の単語内のストレスとは違い、複合語の全体のストレスは「ピッチの高さ」で表現します。つまり、全体のストレスのある一番目の単語がもっとも高く発音され、二番目、三番目と少しずつ下がっていきます。そして、ストレスのないシラブルの母音は、各語のピッチの中で、さらに低く・短く発音されます。

たとえば、「短編小説」という意味の複合語 short story では、最初の単語の short に全体のストレスがあり、二番目の story のストレスは一番目のものより、やや弱くなります。short のピッチがもっとも高く、story のピッチは少し低くなります。story の -y は、story のピッチの中で、さらに弱く発音されます。

複合語のストレス: short story

もう一つ複合語の例を挙げましょう。computer virus (コンピュータウィルス)という複合語では、最初の単語 computer に全体のストレスがかかってピッチが高くなり、virus のピッチは低めに発音します。computer 単体の中では、-u- の母音にストレスがかかり、その他のストレスのかからない母音は全体の高いピッチの中で、やや弱めに発音されます。virus では、-i- にストレスがかかり、-u- は低いピッチの中で、さらに弱く発音されます。

複合語のストレス: computer virus

三語以上の複合語でも、複合語全体のストレスのルールは同じです。一番目の単語のストレスのある母音に複合語全体の一番強いストレスがかかり、続く二番目、三番目、とだんだんピッチが低くなっていきます。

以下は、複合語のリストです。ピッチの高さを手を使って表現しながら練習すると、イメージがつかみやすいでしょう。なお、太字はストレスのある単語、下線はその語内でストレスのかかる母音です。

  1. short story (短編小説)
  2. greenhouse (温室)
  3. hot dog (ホットドッグ)
  4. blackboard (黒板)
  5. blackbird (【鳥】ムクドリモドキ)
  6. little sister (妹)
  7. Big Apple (ニューヨーク)
  8. red ink (赤字)
  9. pink elephants (幻覚症状)
  10. old money (代々の財産家)
  11. pink slip (解雇通知)
  12. potato salad (ポテトサラダ)
  13. plastic surgery (美容整形手術)
  14. computer virus (コンピュータウィルス)
  15. life-long (一生続く)
  16. narrow-minded (了見の狭い)
  17. featherheaded (軽薄な)
  18. greenhouse effect (温室効果)
  19. life-long employment (終身雇用)
  20. football player (アメリカンフットボール)


■ short story は「短編小説」?それとも「短い話」?



「形容詞+名詞」の組み合わせでは、ストレスの位置によって複合語かそうでないかが変わってしまう場合があります。たとえば、上記で紹介した short story は、基本的には「短編小説」という意味の複合語ですが、単純に形容詞 short が名詞 story を修飾した「短い話」という意味である、という可能性もあります。

この後者のように、形容詞と名詞が独立して意味を保っており、複合語として認識しない場合は、後に続く名詞のほうに全体のストレスがおかれます。複合語のちょうど逆ですね。

「短い話」という意味での short story では、以下のように short はピッチが低く、story はピッチが高く発音されます。story の -y はストレスのかからないシラブルの母音なので、story のピッチの中で弱く発音されます。

複合語のストレス: short story

以下は、複合語ではない、形容詞+名詞の組み合わせのリストです。上記の複合語のリストの(1)から(11)までと比べて練習してみてください。なお、 太字はストレスのある単語、下線はその語内でストレスのかかる母音です。

  1. short story (短い話)
  2. green house (緑の家)
  3. hot dog (熱い犬)
  4. black board (黒い板)
  5. black bird (黒い鳥)
  6. little sister (小さな姉妹)
  7. big apple (大きなりんご)
  8. red ink (赤いインク)
  9. pink elephants (ピンクの象)
  10. old money (古い通貨)
  11. pink slip (ピンクの紙片)

いかがでしょうか?複合語のストレスは、慣れが一番大事です。練習で大げさに何度もピッチを上げ下げして、耳と口で慣れるようにしてください。

次回も、複合語のストレスについて。今度は、複合語の動詞、句動詞のストレスについて、ご紹介します。




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このページは、Rickoが2008年3月18日 23:30に書いたブログ記事です。

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